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これで完璧!出雲神在月の徹底ガイド

これで完璧!出雲神在月の徹底ガイド

皆さま、こんばんは。

今日は神在月に出雲をめぐってみたい!という方向けに、神在祭の徹底ガイドをしたいと思います。主な神事のことや舞台となる神社などをまとめました。

今年こそは・・・という皆様、よろしくお付き合いくださいませ。

 

▼目次

(初稿:2020年1月28日)

 

神在祭の行事日程

神在祭とは全部で1週間かけて行われる、いくつもの神事の総称です。

毎年、旧暦10月10日~17日にかけて行われます。神在祭の期間中、出雲には全国の神々が集まって、縁結びの会議をするといわれていますね。

このため他の地域では旧暦10月を神無月(かんなづき)と呼ぶのに対して、出雲だけは神在月(かみありづき)と呼ぶならわしがあります。

以下、出雲大社で行われる神在祭の概要をまとめてみました。

※年毎の具体的な開催日時については暦によって移動するため、出雲大社の公式ホームページなどでご確認ください。

 ⇒ 出雲大社公式HP 行事日程

 

【神迎神事・神迎祭】

時期:神在祭の初日の夕刻

神迎神事は、名前のとおり出雲に集まる神々を迎え入れるための儀式。

学術的には、出雲の浜辺に流れ着くセグロウミヘビを、神様のお使いとして迎え入れる習慣から始まったともいいます。つまり、出雲の神様はもともと、海から来る龍神様だったのですね。

神迎神事の舞台は、神々の玄関口といわれる稲佐の浜。神事を行った後、日本の神々はウミヘビが象徴する龍神様に導かれ、出雲大社までお渡りになるのですね。

 

【神在祭】

時期:2日目~最終日までの朝、複数回

神様の会議「神議(かみはかり)」のためのお祭り。期間中に3回ほど催されます。神事の場所はご本殿。

 

【縁結大祭】

時期:2日目~最終日までの朝、複数回

大国主命の「むすびの力」にあやかりたい方のための儀式で、参列には申し込みが必要です。2018年時点では、祈祷料5000円でした。

 

【十九社祭】

時期:2日目~最終日まで、ご本殿祭事終了後

ご本殿の両脇に並ぶ、十九社のお祭りです。ふだんの十九社は、全国の神様の遥拝所とされているのですが、神在祭期間中は、八百万の神々のお宿になるといわれています。

 

【上宮祭】

時期:2日目~最終日まで、十九社祭の終了後

本社から西へ1キロほど離れたところにあるお社で、神議の会議場といわれています。神在祭の間は日々お祭りによる奉仕が行われるそう。

 

【神在祭の夜神楽】

時期:2~6日目の夜、複数回

神楽殿で行われる夜祭で、3回程度は奉納されます。こちらも、別途、申し込みが必要です。2018年時の祈祷料は5000円。

 

【神等去出祭】

時期:最終日の夕方

神等去出と書いて、「からさで」と読みます。

拝殿にて、神職の方たちが「お立ち~」という掛け声をかけて、神様の帰還を知らせます。全国から集まった神様に感謝を申し上げ、お見送りするための儀式といわれているそうですよ。

 

【龍蛇神講大祭】

時期:2日目の午前中

神楽殿で行う、崇敬者と龍蛇神のご神縁を結ぶお祭りといわれています。龍蛇神といわれると聞きなれない感じがしますが、つまりは龍神様のこと。

神在祭の期間中は、神様の先導者である龍神様が、境内の特設所に奉安されておりました。箱に納められていましたが、箱には海からやってきた本物のウミヘビが納められているといいます。

この特設所の龍神様には、一般の参詣者であってもお参りをさせていただけました。実在する龍神様にお目にかかれる、またとないチャンスになりました。

 

神在祭ゆかりの土地ガイド

神在祭は、出雲国を代表する神事。出雲大社の他にも、広い地域で「神在祭」と呼ばれるお祭りが行われます。

正直なところ、出雲には聖地が本当にたくさんあるため、私自身まだ全てを訪れることはできておりませんが、ここでは神在祭を行う、出雲地域のさまざまな神社をまとめました。

 

その1.稲佐の浜

弁天島の様子

稲佐の浜は、国譲り神話や国引き神話の舞台として有名ですね。

波の向こうに、弁天島と呼ばれる巨岩がそびえており、岩の上に弁天様を祀る鳥居が見えます。神在月に全国から集まる日本中の神様は、この稲佐の浜を玄関にして、出雲の地に上陸するといわれているそうです。

また、稲佐の浜から出雲大社へ続く路地は、神様の通り道になるといわれ、「神迎の道」と呼ばれます。出雲大社から西側、稲佐の浜へ続く石畳のうち、色のついた道路を探してみてくださいね。

出雲大社~稲佐の浜は3キロ程度。神迎の道だけなら2キロ弱なので、徒歩でも十分たどれる距離でした。

 

その2.出雲大社

神在月の中心となる、出雲地方を代表する大社。もとは杵築大社と呼ばれ、出雲の半分以上の地域を統治する格式高い場所でした。

平成12年になってから、過去のご本殿の心御柱の残りが発掘されました。言い伝えのとおり、巨大な柱を3本束ねてあったことが確認されており、当時の建物の高さは48メートル(現在の2倍)もあったといわれています。

出雲の拝殿は南に置かれていますが、神様のお顔は西の海側を向きとのこと。これは出雲の神様が、もともと海からやって来るセグロウミヘビだったからでは、ともいわれています。

西側から臨むご本殿

 

その3.十九社

十九社は出雲大社の境内にある、長~いお社のこと。ご本殿の東と西、両脇を挟むように並んでいます。

神在月の期間、全国から集まった神様は1週間ほど出雲に滞在するといわれ、その間は十九社が仮の社となるとか。神様向けのホテルのようなものでしょうか。

普段は閉じられていますが、神在月の期間中に参拝すると、榊などのお供えとともに開扉された様子を見ることができます。

 

その4.上宮(仮宮)

神在月に、神様たちが会議をする場所といわれています。ご祭神は、素戔嗚尊と八百万の神々。稲佐の浜から出雲大社へ向かう途中、駐車場の近くにあるので道中に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

同じエリアに、天照大神を祀る下宮、素戔嗚尊の子孫を祀るという大歳社もございます。

 

その5.朝山神社

他の神在祭の神社から離れ、出雲市の南部にポツンと鎮座する聖地。アクセスは効率を考えるのがお勧めです。

神有月に全国から集まった神々は、出雲大社に直行せず、先に朝山神社(あさやまじんじゃ)に立ち寄るとの伝承があるそう。

ご祭神の真玉著玉邑姫命(またまつくたまむらひめのみこと)に、思いを寄せた大国主命が、朝ごとに妻問いをしたことが、地名の由来になったといわれています。

 

その6.日御碕神社

日御碕神社(ひのみさきじんじゃ)は、天照大神をご祭神とする日沈宮(ひしずみのみや)と、素戔嗚命をご祭神とする神の宮からなる海辺の神社。

創建の縁起は、夜の世界の守護のために日御碕神社を建てよ、との天照大神のお告げであったからといいます。

出雲国風土記のとおりなら、こちらは出雲の民が建てた神社ではない可能性が高い。いわく、あるとき日の神を祀る「日置」(へき)という民族が朝廷から派遣され、太陽を礼拝する習慣を出雲へと持ち込んだそう。

彼らは現在の出雲市駅の近くに住み着いたので、昔はこのあたりに、日置という地名もあったといいます。

出雲市駅のあたりから日御碕神社を結ぶと、ちょうど夏至の日没の方角に当たります。ご祭神を天照さまとしているのも、日置の民と関係がありそうですね。

 

その7.万九千神社

まくせのやしろ、別名まんくせんじんじゃ。普段のご祭神は、櫛御気奴命(くしみけぬのみこと)、大穴牟遅命(おおあなむちのみこと)、少彦名命(すくなひこのみこと)と、八百万の神々とされています。

神在月の締めくくりに、集合した神様が「直会」をするためのお社だそうです。神様の宴会場といったところでしょうか。

万九千神社の近くにかかっている橋は、からさで大橋・神立橋と呼ばれており、この橋を渡って神々は帰路に着くそうですよ。

 

その8.熊野大社

出雲大社の宮司さまの家系が、最初に祀っていた神様といわれています。

当初は2カ所に奉仕していたものが、いつの間にか杵築大社(出雲大社)への奉仕が中心になり、結果的に熊野大社の方がローカルな神社に落ち着きました。

それでも出雲国の一の宮に指定されているほか、鑽火祭(さんかさい)というお祭りでは、出雲大社の宮司様から舞いが奉納されるなど、格式の高い神社であることがうかがえます。

創建の時期は不明。しかし出雲大社の宮司さまが交代するときは、熊野大社の神様から火おこしの神器を授かる伝統があることなどから、出雲大社よりも古いとされているようです。

 

出雲の神在月と地域の風習

神在餅

出雲はぜんざい発祥の地。神在祭のとき、出雲では小豆の入ったお雑煮を振る舞う習慣があったといわれます。

出雲の方言では、これを「ずんざい」(=神在)と呼びました。その後、ずんざいは京都へ伝わり、今のぜんざいの原形になったとされています。

 

潮汲み

稲佐の浜と出雲大社を結ぶ神迎の路では、毎月1日に、海水を竹筒に汲んでお清めをする習慣が残っており、これを潮汲みと呼んでいるそうです。

 

出雲もうひとつの神在祭

以上、ここまでは出雲大社の神在祭について紹介して参りました。しかし、出雲の神在祭といえば、実は他にも見逃せない場所があります。

それは、佐太神社さま。

出雲国二ノ宮に定められた佐太神社は、神在の社(かみありのやしろ)とも呼ばれ、出雲の神在祭を語る上で外せない場所となっています。

 

その秘密は、佐太神社の祀る神様と関係がありそうです。佐太神社の境内奥には、母儀人基社(はぎのひともとしゃ)という、磐境(いわさか)を祀る場所があって、これが伊弉冉命(いざなみのみこと)のお墓から遷された、といわれているからです。

伊弉冉命は、八百万の神様のお母さまでもありますよね。このため神在祭の期間には、全国の神さまが母神をしのんで佐太神社へやってくる、との言い伝えがあるそうです。

出雲大社と比較しても、より原始的なスタイルの神在神事が行われているといい、学者さんたちからも注目されているそうですよ。「神在祭」にこだわった参拝をするならば、是非とも立ち寄りたい神社です。

 

出雲だけじゃなかった?神在の地

自然あふれる岡山の風景

更にマニアックに神在祭を知りたい方に、出雲のほか是非と訪れて欲しいのが、岡山県の吉備津彦神社です。なぜなら、神在祭に集まる全国の神様は出雲に入る前に、こちらへ立ち寄るとの言い伝えがあるから。

出雲の神在祭が11月であるのに対して、吉備津彦神社の神在月は10月。八百万の神様の足跡をたどる旅をしたい方は、ゆかりの場所として是非、岡山もチェックしてみてくださいね。

 

以上、出雲の神在月の徹底ガイドでした。

それにしても、出雲には本当にたくさんの神社がありますね。過去、記事にしきれなかった場所がたくさんあると気が付き、慌てて文字に起こしてみました。

本日も最後までお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました!

カテゴリー: 神社 開運のヒント
タグ: 出雲