【神戸・六甲山】六甲比命神社と瀬織津姫の謎

皆様、こんばんは。

久しぶりになりますが、今日は神社めぐりの思い出から、兵庫県神戸市の六甲比命神社を紹介したく存じます。

特に山奥の聖地に興味のある方に、お勧めしたい内容ですよ。
よろしくお付き合いくださいませ。

▼目次

(初稿:2019年10月23日)

 

六甲比命神社のご祭神・瀬織津姫とは?

六甲比命神社のご祭神は、瀬織津姫という女神様です。大祓詞に登場することで知られる神様ですが、その正体は謎。

なぜなら、日本を代表する神話・古事記や日本書紀には登場しないからです。

瀬織津姫の登場する文献はいくつかあるそうですが、そのうち一番有名なホツマツタエという文書については、残念ながら偽書の疑いが濃厚とされます。

ホツマツタエの内容に真実があるとするならば、瀬織津姫には別のお名前があって、向津姫(むかつひめ)とも呼ばれていたといい、更に、向津姫とは天照大神さまの奥さんだ、ともいわれているのです。

その場合、天照大神は男の神様と考えられ、向津姫は天照大神に奉仕する巫女さんだった、と考えるそうですよ。

真実は闇の中ですが、六甲の文字をムコウと音読できることから、向津姫の名前が六甲の地名の語源(ムコウ=ムカツ)は神様のお名前なのかもしれません。

古事記などとは無関係に、古くより神戸周辺で祀られていた神様なのかもしれませんね。

 

六甲比命神社とは?

六甲比命神社は、六甲山の山上に鎮座するささやかな古社。六甲比命大善神社と呼ばれることもあるといいます。

お社の中には参拝者が奉納したとみられるご神水がお供えされているなど、密かに篤い信仰を集めているのが見て取れました。

神社までの道中や社殿の背後には、巨大な奇岩が数多くそびえており、もともとは磐座を信仰する修験道の霊場であったことが偲ばれます。

特に途中にある巾着型の岩は、瀬織津姫のお墓との伝承があり、六甲比命神社を象徴する存在となっているそうです。

なお六甲比命神社は、一般的な観光地の神社とは全く違っており、社務所もなければ手水舎もありません。

現世から隔絶された修行場というべき場所ですので、参拝の折はご注意くださいませ。

 

六甲山と修験道

修験道の霊場として見た場合、六甲比命大善神=弁財天さまとして信仰されて来た歴史もあるそうで、水や海とは切っても切れない神様のようです。

役小角の流れを組む山伏の修行場となっていたといわれ、この地の巨岩は当時から、ご神体とされていたのかもしれませんね。

修験道の神仏習合思想の名残か、神社であるにも関わらず、瀬織津姫のほかにも、ご本尊として弁財天さまも一緒にお祀りしているそうですよ。

神社まで行くと分かるのですが、瀬戸内海や淡路島まで見晴らす高台は、かなりの急斜面。山伏の荒行には、ぴったりの場所だったろうと想像できる雰囲気がありました。

 

六甲山の歴史

神戸といえば源平の合戦の時代を想像しがちですが、六甲山に関してはもっと古い時代から霊場として、人の出入りがあったといわれているそう。

六甲山そのものの歴史は、西宮市の廣田神社さんとつながりが深いといわれています。

六甲山全体が廣田神社の領地になっていたこと、昔の廣田神社のご祭神が瀬織津姫であったことなどから、当初、六甲比命神社の神様は廣田神社に祀られていたのでは?とする説もあるそうですよ。

神社ができる以前には、多門寺という7世紀に創建された毘沙門天様のお寺だったといいます。

これだけ深い山の中でも、複数の歴史スポットがあるのは、やっぱり平清盛のお陰なのでしょう。

清盛は福原遷都のときに、六甲にあった多門寺を新都の鬼門守護の寺院とし、整備したといわれているそうです。

 

アクセス・宿泊情報

六甲山の山上まではロープウェイが利用可能。

山上に着いてからは、シャトルバスが出ており、カンツリーハウスやガーデンテラスなどの主要な観光地へ運んでくれました。

六甲比命神社の最寄りバス停はカンツリーハウスですが、降車後も20分くらいは歩いたかと思います。

【参考1】六甲山のポータルサイト
【参考2】六甲・摩耶1dayチケット

 

参拝に関する注意事項

バス停~六甲比命神社までの参道は、完全なる山道ですのでご注意を。

夏場はマムシ、冬場は雪による滑落などにも注意が必要なので、お一人での参拝は避けた方が良いかもしれません。

途中、社殿の高台へのぼるための鉄の梯子をのぼる必要があります。梯子は古く錆があるため、軍手など手袋を用意するのがお勧めです。

私は暖かい時期に参拝したため、ヘビ対策として足首の出ない靴を選びました。

宿泊の参考情報

六甲山上へのロープウェイの麓側は、有馬温泉の宿場街につながっているため、温泉旅行のついでに山登りで訪れる方が多くおられます。

有馬温泉は、金の湯・銀の湯と呼ばれる2種類の温泉が湧く土地。温泉街の中に、日帰り入浴できる施設もありますので、夜間の楽しみとしてチェックしてみてはいかがでしょうか。

もちろん、ほとんどの旅館で源泉かけ流しの温泉をひいているので、お好みで宿を選ぶのも楽しいと思います。

湯上りに夜風に当たるのは心配という方には、一か所で2種類の温泉を楽しめる宿 (金泉・銀泉と4つの貸切風呂のある温泉宿) もございました。

【参考】有馬温泉観光協会公式サイト

※京都、大阪方面からの直通バス情報などもあり。

 

六甲比命神社の不思議な思い出

実際に参拝してみた感想としては、六甲山は全体に、神戸の海からやってくる自然の力を受け止めているようで、一種のパワースポットなんだな、と思いました。

神戸といえば日本最古級の港街。やはりパワーの源泉は、海にあるのかもしれませんね。

ただし、六甲比命神社については、テレビや雑誌で騒がれるような場所ではないとおり、好奇心で参拝するところではないのでしょう。

どちらかといえば表に出してくれるな、という雰囲気のある神さびた神社でした。

これは不思議な体験、というほどの事でもないかもしれませんが、六甲比命神社への参拝を終えて、六甲山の展望台から海を見渡していた時のこと。

にわかに通り雨が降りまして、眼下を漂う黒雲の下に、控えめな虹が現れたのです。

神戸の街に影を落としながら流れてゆく雲の影になりながら、消え入りそうに浮かぶ虹は、歴史から身をひそめた瀬織津姫の存在を思わせました。

ご存知のように、虹は龍神の化身といわれています。瀬織津姫が弁財天と同じ神様とされていたならば、虹は龍女としてのお姿を象徴する、といえるのではないでしょうか。

せっかくなので、何気なく虹の写真を撮影したところ、カメラがフリーズして動かなくなり、遂には壊れてしまいました。

データまでは消えなかったものの、撮影されること自体は、神様の本意ではなかったのかもしれません。

あまり騒がしくせず、静寂を守っていきたい。そんな神様の囁きを聞いたような気がしましたので、写真は投稿しないでおこうと思います。

以上、私の六甲山の巡礼の記録を紹介させていただきました。

神戸といえば、洋館やお菓子の名店が並ぶオシャレなイメージですよね。私も、出発前は華やかな女子旅にするつもりでいたのですが・・・。

気が付いたら山中で鉄の梯子を上っておりました。

私も六甲山に行きたいという方、特に女性の皆様は、本当にファイト一発!という道のりですので、くれぐれもお気をつけ下さいませ。

 

それでは、本日も最後までお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました!

1件のコメント

  1. ようつべのカタカムナ動画が配信停止になったので呼ばれたと感じて参詣いたしました。駐車場の車番では九州や琵琶湖からの来訪者がおり、また参拝帳には遠方からの崇敬者が見受けられました。蝋燭は用意されていましたが線香はなかったので持参のものを使用しました。老若男女問わず多様な方々に愛されているお社です。ただし、登山道の途中のためハイキングの人が通過します。アルミの梯子はいわば共用通路。急斜面の渡しで梅雨の合間の訪問でしたが足元が悪かったです。どうもありがとうございました。

    K
  2. こんにちは。がみおです。六甲山、行かれたんですね。私は、六甲山の目の前に住んでいましたから、登山で、20回以上は、行きましたよ。自分の庭みたいな感じでしたよ。六甲ひめ神社は、行ったことは、ありませんでしたが、頂上近くの六甲神社には、何回か行きましたよ。六甲神社は、白山信仰で、石の宝殿という祠が有名で、菊理姫命が、奉られていました。瀬尾律姫と菊理姫は、史上、あまり登場せず、同一視されているのも興味深いです。神戸周辺は、生田神社を中心に、女性神をお祀りしている神社が多く、何か暖かい気に包まれていました。あまり、頑張り過ぎないで、記事の更新をまた楽しみにしてます。

    がみお
    1. こんにちは!コメント遅くなってごめんなさい。
      関西は独自の伝説がたくさん残っていて、調べているだけであっというまに時間が過ぎてしまいます。
      いわれてみれば、神戸は女神様が多いですね。華やかな地域なのは、土地の神様の性質と関係あるのでしょうか。
      ゆっくりになっていますが、更新がんばりますので是非また遊びに来てください!

新田 真弓 へ返信するコメントをキャンセル