癒しの御神水が湧く聖地 奈良・狭井神社
本日もお越しくださった皆さま、ありがとうございます。
今回は奈良県桜井市に鎮座する狭井神社について、紹介させていただきますね。
よろしくお付き合いくださいませ。
▼目次
(最終更新:2018年9月14日)
狭井神社は薬の神様
奈良と言えば、一般的にはお寺巡りをする場所ですが、神様を祀る土地として見ても、三輪山という大変古い聖地がございます。
奈良では三輪山のことを、「神山」と書いてオヤマと呼ぶそうです。
奈良県桜井市の周辺では、大神神社(おおみわじんじゃ)を筆頭に、この三輪山に鎮まる大物主(おおものぬし)神を崇敬する神社が集まっているんですね。
実際に足を運んでみると分かるのですが、大神神社に限らず、檜原神社や春日大社でも、三輪山を拝むための拝遥殿がもうけられていました。
奈良の都における神様は、三輪明神が第一党のようです。
狭井神社というのは、大神神社と並んで鎮座する神社で、ご祭神はやはり大物主神です。
ただし、狭井神社が祀るのは、大物主神の荒魂。
このため、力強いご神威があるとされ、篤い崇敬を受けて来たといいます。
大物主神という神様が、大国主神の別の姿との伝承があることから、薬の神様としても崇敬を集めているそうですよ。
狭井神社の薬井戸の御神水
狭井神社そのものが、大神神社境内の奥のくすり道を進んだ先にあるのですが、その狭井神社の敷地の更に奥まった場所に薬井戸という湧水があり、狭井神社の見どころとなっています。
薬井戸から湧き出る御神水は、万病平癒のご利益があるとされているそうで、私が参拝した日も、マイボトル持参で水を汲みに来ている方々の姿が見られました。
なお、三輪山の登拝口は狭井神社に隣接しています。
だからこそ薬井戸の御神水は、三輪山の御神気をふんだんに含んだ、特別な水と考えられてきたのかもしれませんね。
しかしながら、この薬井戸の御神水、最近になって井戸が枯渇してしまい、領分中止となる事態があったようです。
水不足に影響を受けて、地下水位が下がったためといわれているそうですが、お水を汲む目的で行かれる場合、持ち帰る水量はほどほどにした方が良いかもしれませんね。
狭井神社のちょっとスピリチュアルな話
ここからは、狭井神社に関する少しスピリチュアルな話になりますので、不思議なことが好きな方のみ、お付き合いいただければと思います。
桜井市には大神神社を始め、三輪明神を祀る神社がたくさんあるのですが、私にとって居心地が良いと感じたのは、この狭井神社でした。
先にもお話ししましたが、狭井神社は祀っているのが大物主神の荒魂なんですね。
荒魂社というのは通常、ご祭神の荒々しい側面を祀る場所なので、和魂を祀るご本殿などと比べると、デリケートな感じのする土地に置かれていることが多いとうのが、私の印象でした。
ところが、狭井神社に関しては逆。
癒しの神様として祀られてきたせいか、とても平和で調和した雰囲気に満ちていました。
神話をさかのぼると、ご祭神の大物主神はその昔、祟りが身として畏れられたこともあったといわれ、もともと激しいくらいのご神威を備えた神様であったことがうかがわれます。
神様がふだんは見せない性質の事を荒魂と考えるならば、狭井神社というのは、鎮められた後の大物主神を象徴する場所なのかもしれません。
狭井神社の入り口には、大物主神の妻になったという鎮女(しずめ)のお社も鎮座しています。
また、花鎮め(無病息災を祈るお祭りで、各地に同様のお祭りがあります)のお祭りでも有名な場所で、皇后美智子さまが、これを題に詠んだ歌の碑も建てられていました。
こうした背景を見て参りますと、荒れ狂う力を鎮める不思議な力を持つ神社が、狭井神社なのかなあと思いました。
病気というのは、ある部分では生命エネルギーの暴走でもありますから、その意味ではこの狭井神社が病気平癒の聖地となっているのも、うなずける気がします。
狭井神社の思い出
以下、ふつうの思い出話になります。
今回の奈良旅行の中で、最もいろいろな経験をしたのが狭井神社だったかもしれません。
境内に立って本殿を眺めていると、掃除を終えたばかりの神職らしきおじさまがやって来て、声をかけてくださいました。
お社を挟む山肌に生えた、白い釣り鐘型のお花について教えていただきました。
写真の花は、銀竜草というらしい。
山中に自生する珍しい植物で、晩春(写真は5月時点)の狭井神社の見どころのひとつなのだそうですよ。
たまたま今年(2017年でした)はすごくよく咲いているとかで、おじさまは上機嫌で、特によく花の咲いているところまで案内してくださいました。
それから帰り際、何やら社務所が騒がしいので振り返ると、日差しの強い日だったせいか、介抱されている方の姿が。
お座敷の奥でぐったりしている男性の周囲を、集まった神主さんたちが取り囲んでいます。
そのうち、若い男性の神主さんが外へ駆けて行ったかと思うと、手にスポーツドリンクを持って戻ってらっしゃいました。
狭井神社はほとんど山の中にあるため、熱射病の方を看病するための飲み物も、下まで降りないと手に入らないのだと、この時に気が付きました。
お陰で男性は事なきをえた様子でしたが、大神神社~狭井神社を訪れるには、長いこと外を歩かねばなりません。
日差しの強い時期に訪れる際は、無理は禁物かなと思います。
人の優しさを感じる狭井神社は、とても素敵な神社でした。
一方で、三輪山というご神域への入り口でもあるこちらを訪ねるには、ちょっと体力も必要な様子。
観光目的の旅であっても、半分ツーリングをするつもりで準備を整えて置くのが良さそうですよ。
本日も最後までお付き合いいただいた皆さま、ありがとうございました!