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ダキニ天様に遭遇した実話

ダキニ天様に遭遇した実話

本日もお越しいただいた皆さま、ありがとうございます。

今回は、私の寺社巡りの経験の中から、ブログにはっきりと書けなかった話を、一部だけ紹介したく存じます。

よろしくお付き合いくださいませ。

▼目次

(初稿:2017年7月30日、最終更新2019年5月12日)


日本人のダキニ天さま信仰

ダキニ天様とは、仏教において天部の神様として祀られる存在で、もともとは人間の心臓を喰らう鬼神のような女神でした。

しかし、仏教の教えに諭されて改心したことをきっかけに、仏教を守護する護法善神へと変わったといわれています。

ところが改心したとはいえ、ダキニ天様の体質(?)が変わる訳ではありません。

お食事は相変わらず人間の心臓が必要ということで、最初は死者の心臓を食べていたのだそうですが、他の魔の者たちに先を越されて困ってしまいます。

結局、ダキニ天様がご眷属としてお仕えしている大黒天様に許可をもらって、人間の寿命を予知する能力を授かり、余命半年となった者の死期を待って、その心臓を食物とするようになったといわれています。

こうした説話の存在や、邪教と目された真言密教立川流との関係から、ダキニ天様は怖いというイメージを持たれることもありますが、現世利益のある仏様として有名で、ご利益信仰では聖天様と並び人気のある存在なんですね。

また、ダキニ天様は霊狐に乗った姿で現されることがあるため、日本に入って来てからは稲荷神と習合されるようになりました。

現在でも、お寺の境内に鳥居が見えることがありますが、お参りしてみるとたいていは稲荷神社で、ダキニ天様の化身として祀られていることが多くあります。

神仏習合の時代には、稲荷神社の総本山である伏見稲荷大社でも、お寺と共にダキニ天を祀っていた時期があったといいますから、稲荷神とは切っても切れない関係といえるでしょう。

ご本尊として祀られることは少なくとも、日本人の信仰に深く浸透しているのがダキニ天様です。

 

怖いばかりじゃないダキニ天さま

ここまで紹介しましたように、ダキニ天さまが怖いというイメージが生まれたのは、インドの神話や過去の宗教団体から受けた影響が大きいようです。

一方で、現代まで引き継がれているダキニ天さま信仰は、実際にはおどろおどろしいイメージとはかけ離れたものが中心となっています。

現代のダキニ天様として人気、知名度ともに秀でているのは、豊川稲荷様でしょうか。豊川稲荷では、開祖が感得したという特別なダキニ天さまをご本尊としているため、そのお姿は剣ではなく、稲穂を担ったかたちで表現されます。

同じ豊川稲荷でも、東京・赤坂の豊川稲荷別院さまなどは、ジャニーズ事務所が近いこともあってか、芸能人とそのファンの信仰もあつく、良い意味でお寺のようではない、明るく華やいだ雰囲気がありますよ。

ダキニ天さま、あるいはご眷属のお稲荷さんに怖いイメージがある方は、一度足を運んでみると印象が変わるのではないでしょうか。

 


実在する強力なダキニ天さまのこと

私がそのダキニ天様を見つけたのも、由緒正しい某お寺でした。寺社巡りをしていた時に、「これは強い!」という最強クラスのダキニ天さまに、うっかり遭遇してしまったんですね。

申し訳ございませんが、どこかは伏せたいと思います。そもそもの始まりは、お寺の配布している案内書に書かれていないお社の存在に、私が気づいてしまったことにありました。

最初にうかがった基本の参拝順序にならえば、境内を時計周りに巡るのが一般的な順序とのこと。作法を教えてくださった案内役の住職さんに見送られ、次の拝観スポットへ行こうとした時、境内の中に小さい立札があることに気が付いたんです。

時計回りにまわるという作法を厳守するならば、次に向かうのは立札の先にあるお社のはず。それにも関わらず、さっきまでご一緒していたその住職さんは、しきりに別の方角をお勧めされていたので、困惑してしまいました。

あっちにも見所があるから是非いらしてください、とご住職は仰っていたけれど、地図を見る限り道は繋がっています。正式な順番で境内を巡っていけば、遠回りにはなるけれど、見所という場所にも戻れそうでした。

せっかく来たのだから、一通りお参りをしたい。そう単純に考えた私は、立札の示すとおり、そのお宮を目指して進路を変えることにしたんです。

石畳が無くなり、急に山道のように変わった坂を上っていくと、向かいから年配の別のお坊さんが、境内の見回りに歩いて来るのとすれちがいました。どうも、地図にないこのお宮が放置されている訳でも無さそうです。

基本の作法が時計回りならば、なぜこっちには案内しないのかなあ、と思いながら階段を上がって行ったところ、何やらだんだんと周囲の空気が変わっていくのがハッキリと分かりました。

そのまましばらく進んでいくうちに、辺りを包む空気が斬りつけるカマイタチのように鋭利に変わっていきます。街を見下ろす高台に、ポツンと建てられた朱塗りのお宮が現れるころには、ほとんどカミソリの束の中に居るような気配に包まれていました。階段の先に鎮座するダキニ天様のお宮の周囲には、当然のこと誰も居ません。

その時のダキニ天様のご様子をうまく表現するのは難しいのですが、もう全身が牙でできていて、若干髪の毛も生えるくらいに成長した、究極のダキニ天さまでした。

しまった、これは気軽に来ちゃいけないところだ…!そう気が付いても、後の祭りです。冷や汗をかきつつも、ここでお尻を向けては、かえってご機嫌を損ねることにもなりかねません。

手水舎もない場所でしたので、持参していたミネラルウォーターで手と口を清めてから手を合わせると、極彩色の衣装をまとった絵姿が見えました。

白狐のように赤く縁取られた鋭い眼、身体は天女のような着物姿でしたが、クレヨンか何かで描いたような抽象的な映像として映りましたので、何か古い時代の呪術が関係しているのかもしれません。

実体というよりも人工的に生み出された感じのするお姿でしたから、今日至るまでご祈祷などを積み重ねることで力を保っているのでしょう。

突然の展開に驚きはしたものの、ご不興を買うことなく、お参りを済ませることができました。

 


歴史が語るダキニ天様のご利益

これだけ存在感の生々しいダキニ天様にお目にかかったのは、このお寺が初めてです。おそらく現役で戦えるほどの力のある御方かもしれません。

このお寺の歴史を振り返って見ても、ここを敵に回してした時の権力者たちが、志半ばで次々と息絶えたりしているのですが、もしかすると一種の調伏のご祈祷が行われたのかもしれません。

こんなに強力なダキニ天様がおられるのであれば、さもありなんと思わず納得してしまうほどのパワーに満ちていました。仏前にお邪魔して、土下座したくなったのは、後にも先にもあの時だけです。すごい経験をさせてもらいました。

念のため再度申しあげますが、ダキニ天さまがみ~んな怖い訳ではありませんので、その点は本当に誤解しないでくださいね。戦って勝つことが、殊のほかお上手なのがダキニ天様というだけで、人間に対して無暗に怖い顔をする方ではないと思います。

一般の方であっても、スポーツなどの勝運祈願や、独立起業して一代で大事業家を目指したい場合の御祈願などしたい場合は、ダキニ天様がとても力強い味方になってくれるのではないでしょうか。

競争が付き物となった現代人、特に叩き上げを志すビジネスマンの方にとっては、今こそダキニ天様のような能動的な神仏のご加護が必要なのかもしれません。

愛知県・豊川稲荷さま。

 

ダキニ天さまをもっと知りたい方へ

最後に、ダキニ天様についてもっと知りたい方に、お勧めの書籍を紹介させていただきますよ。

①真言立川流のダキニ天信仰

幕府から邪教として禁止された、ダキニ天信仰の宗教・真言立川流の思想について書かれています。髑髏に化粧をほどこして・・・など、世間に流布している恐いイメージは、ここに原点があると思われます。

 

②神仏習合のダキニ天の参考

こちらは、伏見稲荷大社の宮司さんが監修した本。大部分は稲荷神の話ですが、習合されたダキニ天さまに関する記述が含まれます。

 

③天部信仰の参考書

ダキニ天様にかぎらず、密教の天部の神様に興味のある方でしたら、以下もおすすめ。お坊さん向けの専門書なので値段が高めですが、ダキニ天様の他にも、大黒天、歓喜天、龍神、深沙大将など幅広く網羅された一冊です。

 

以上、本日も最後までお付き合いいただいた皆さま、ありがとうございました!

カテゴリー: お寺 仏教
タグ: 実話

コメントを開く (2)

  • この度初めてブログを拝見させて頂きました。
    色々な記事が気になり読ませて頂きましたが、ダキニ天様のこの記事が非常に気になりコメントを残させていただきます。
    凄く気になった事は何故この寺院の名前を伏せられているのかです、状況的にこの社に不浄な人達が気軽に行って欲しくないという事も納得するのですが。
    他にも理由がある様に思えてしまい…そう思うと余計に気になってしまいまして申し訳ございません。
    正直その神聖な場所にお参りしたい気持ちも湧いてきまして、何故かわからないのですが非常に気になってとお伝えしたいと思う気持ちで留めておきます。
    良い記事を読ませて頂きありがとうございました。

    • コメントありがとうございます。
      理由はさまざまなのですが、ひとつはお寺さん側でも、オープンに案内していない場所だからです。
      最近は以前より、更に見つけにくくなっていました。
      ご縁がある方はたどり着くと思いますが、こればかりは仏縁ではないでしょうか。
      日本でも有数の古い霊場の、歴史ある仏様です。
      お寺めぐりがお好きでしたら、いつかはたどり着くかもしれません。