生理中の参拝はどうするべき?神社・お寺ごとのヒント
皆様、こんばんは。今日は、ブログ読者様からの比較的よくある質問にお答えしたく存じます。
生理中に神社仏閣へ参拝しなければいけなくなってしまったら、どうしたらいいのか。寺社めぐりの好きな女性なら、一度は悩んだことのある問題かと思います。
今日は神社とお寺、それぞれのケースについて、私の知る範囲で紹介さしあげることに致しました。穢れに関する基本的な考え方も確認して参りますよ。
よろしくお付き合いくださいませ。
▼目次
- 生理中に神社仏閣を避ける理由
- 生理中に神社に参拝していいの?
- お寺への参拝はどうするべき?
- 穢れは生理よりも健康状態にあり?
- 血穢れと夜叉類の仏さま
- 参拝日に生理になってしまった時のヒント
- 生理時の参拝に関する結論
(初稿:2020年2月11日)
生理中に神社仏閣を避ける理由
生理中の女性は、神社仏閣へ行ってはいけない。これが常識になった根本的な理由は、「穢れ」の思想にあるといいます。
神道では長らく血を穢れとみなしていました。生理=血=穢れと結びつけて考えていたのですね。
例えば昔の大祓詞をみると、国つ罪として生膚断(いきはだたち)・死膚断(しにはだたち)という罪が挙げられています。肌を傷つける=血を流す行為と連想できることは、現代人にも創造がつきますね。
現在の大祓詞では、今どきの倫理観にそぐわない部分があることから、具体的に罪にあたる行為までは読み上げず省略するようになりましたが、日本人の倫理観の中にはやはり神道の観念が生きているのでしょう。
とはいっても血を穢れと見なす思想も、いつから始まったのか、実ははっきり分かっていません。
例えば、縄文時代の信仰の名残を残すという諏訪大社では、鹿の首を神様にお供えする伝統がありました。動物の首には当然ながら血が通っている訳ですから、当時は感覚が違っていたと分かります。
あるいは出産とともに生理中の女性のコンディションは、普段と違う状態になることから、陰陽の調和がとれていない=気が乱れている=穢れがある、と考えられたのではという説もあるそうです。
いずれにせよ、血を穢れとする発想は、歴史の中で創造されたアイデアといえそうですね。
生理中に神社に参拝していいの?
伝統的に神様や仏様とのお付き合いには、礼儀作法は大事といわれますから、現代でも基本的には生理中の参拝は避けた方が良いのかなあと私は思っています。
その一方で、神社さま側から絶対禁止とされている訳ではないのも事実。最終的には状況などを踏まえて、誠実に判断するしかないのかもしれません。
例えば神社には結界をして区切った場所と、そうではない場所が分けられていますよね。これは神社の中でも、格別に清らかさを重んじるべき場所と、一般参詣者の立ち入りも許される場所と、扱いの違うエリアがあるということです。
しかも特別に重要な聖域については、そもそも一般参詣者には立ち入ることができないケースがほとんどの様子。ここから考えると、通常の参拝作法を守っていれば、「禁忌を犯す」というほど重大なマナー違反にはならないのではないでしょうか。
巫女さんの場合は、生理中のみ一部の作業から離れる、最も神聖とされる場所には近寄らないなどの工夫をしつつも、ご奉自体は継続してよいとする神社もあるとのこと。
こうした流儀にならうなら、一般参詣者としても立ち入り禁止まではしなくて良いのかもしれません。それでも、マナーとして慎みの心は忘れないようにしたいものですね。
お寺への参拝はどうするべき?
生理中の参拝を控えた方が良いとされるのは、実は神社だけではありません。お寺へのお参りも、避けた方が良いといわれています。
仏教施設であるお寺の場合、古くは女人禁制の伝統があったように、もともとは男性向けの場所。そもそも生理の問題が取り上げられること自体、神社よりも少ない気がしますが、生理時にはお邪魔しない方が良いというのは共通のマナーです。
そのうえで、一般参詣者の参考になる方法があるとすれば、尼僧さんの工夫ではないでしょうか。
仏様の場合は一度ご奉仕を始めたら、お寺の規模によってはご本尊と僧侶が同じ屋根の下で過ごすこともあり得ます。こうした状況から、尼僧さんの中には生理になってしまったときに、烏枢沙摩明王のご真言をあげるなどの工夫をされている方もおられると聞きました。
烏枢沙摩明王は、日本ではトイレの神様として知られていますね。とはいえ本来、烏枢沙摩明王がトイレの守護者と決められている訳ではないそう。
あらゆる不浄を清める功徳があるといわれることから、不浄の溜まりやすいお手洗いにお祀りすることで、場の清らかさを保っていただこうとしたことが、トイレの神様とされるようになった理由のようです。
穢れは生理よりも健康状態にあり?
ここから怪しい話をしますので、スピリチュアルな話題が大丈夫な方のみお付き合いください。
生理=穢れ。こういわれると、ほとんどの方は生理自体を「汚いもの」や「汚れたもの」であるようにイメージしてしまうかもしれません。
でも本来、穢れという言葉が意味したのは、気枯れだったといいます。つまり、元気や若々しさが衰えた状態だったというんですね。
私自身は個人的な経験から、これには思い当たる節があります。というのは、生理の直前頃になると、自分のオーラが淀むのが分かる時があるからです。
体調の良い人、気分の良い人のオーラは、明るくて軽やかというのが、実体験による私の考え。だから、自分自身の気が整っていないときに参拝すると、神様に捧げる祈りの念も、いつもより良くない状態になるのかもしれない、なんて推測しているんです。
なお、オーラが淀むのは女性の生理に限った現象ではありません。以前、私の父が病気で手術をした後、しばらくオーラが粘った感じになり、色合いも黄色くくすんでしまった時期がありました。
肉体的な極度の疲労が原因だったらしく、その後、体力が戻ったらオーラもキレイになりましたが、健康状態を良くすることは、気枯れを抑えることと関係するのかもしれません。
血穢れと夜叉類の仏さま
ところで、仏様には色々な経歴の方がおられます。中には、夜叉と呼ばれる鬼神に近い方も存在しますね。代表的なのは、毘沙門天さまやダキニ天さまなどでしょうか。
これはごく個人的な感想なのですが、血の匂いがする時に夜叉類に近い仏様をお参りすると、なんだか場が落ち着かなくなる気がします。
毘沙門天さまはそうでもないのですが、ダキニ天さま(あるいは御眷属なのか?)などは、ザワザワした気配になる。あまり適切な言い方ではないかもしれませんが、断酒に成功した人の目の前で、お酒を見せびらかすような行為なのかもしれません。
わざわざ生理中に参拝しなくても良いのでは、というのが私の考えです。
参拝日に生理になってしまった時のヒント
なるべく、参拝の時に生理になるのは避けたい。そう気を付けていても、体調によっては思いもよらないタイミングで、生理になってしまう時もありますよね。
誰かと一緒に旅行の予定を立てているときなどは、そう簡単にスケジュールを変えることもできません。もし、どうしても神社仏閣への参拝と生理が重なってしまった場合は、どうするのが良いでしょうか。
私自身は次のような工夫をしています。
【ヒント1:鳥居の内側に入らない】
これは氏神様など、比較的いつでも出直しできる神社に参拝する場合。鳥居の外から、ご神域の中の神様に手を合わせるだけ、という方法です。(お寺さんなら門の外。)
神社好きの皆様ならばご存じのように、神様を拝むときは、何も間近までお邪魔する必要はないのです。離れた位置から拝む行為は「遙拝」とよばれ、参拝の定番スタイルにもなっていますよね。
例えば、霊山の頂上にある奥宮を、麓の里宮から参拝するのも遙拝の一種。
生理中だからお傍には寄れないけれど、敬意だけは忘れないように――私自身はそんな気持ちでおります。
【ヒント2:触れない・侵さない】
とはいえ、ヒント1のような対応が難しい時があるのも事実ですよね。
例えば、沖縄や北海道など再度のお参りが難しい遠方では、出直しも難しいでしょう。誰かと一緒の旅行であれば自分だけ頑なに入らない、という訳にも行きません。
どうしても生理中にご神域に入らなければいけない場合、せめてもの工夫として私がしていることは、なるべく触れない・侵さないこと。
例えば、普段なら登っても良いとされている岩や山でも、生理中ならば入って行かない。あるいは、手を触れても良いご神木などであっても、一歩下がった場所から手を合わせるだけにしておく、など。仏像にも、あまり近くまでにじり寄らないようにしています。
特に神社の場合、古くは禁足地を設けるなど、「手つかずの自然」を守ることが大切にされていました。今でこそ、触れてお参りしてよいご神木・ご神石もありますが、触れない・侵さないが神様に対するマナーの基本だった訳です。
ならば、生理中くらいは基本中の基本に戻ってみようというのが、私なりの工夫ですよ。
【ヒント3:皆はどうしている?】
私の知る限りですと、他にも生理中の参拝の工夫として、塩を身に着けて行くという声も耳にします。これなども、身の不浄を少しでも清めてお参りしたい、という工夫なのでしょう。
これが絶対に正解という方法を決めるのは難しいですが、神様仏様への敬意を表現する方法のひとつとしてヒントになりそうです。
生理時の参拝に関する結論
女性であれば一度は悩む、生理中の参拝の問題。こうしてまとめると、究極的に大切なことは神仏への敬意を忘れないことなのかもしれません。
参拝する人間自身が、なるべく明るく幸せな気持ちでいること。身体を健康に保つこと。そして神仏を敬愛すること。
生理の問題は女性だけの悩みとして捉えられがちですが、突き詰めていくと見えて来るのは、男性・女性の区別ない、神様との向き合い方なのかもしれませんね。
以上、神社仏閣への参拝と生理に関する悩みを解決するヒントを紹介さしあげました。
本日も最後までお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました!