神社仏閣の写真撮影どこまで大丈夫?

皆さま、こんばんは。

今日は観光地、特にお寺や神社における写真撮影のマナーについて、私の経験からお話ししたいと思います。

神社で写真をとるなんて 罰当たりだ、不謹慎だなどという意見もあるようですが、その理由も一緒に見てまいりましょう。

寺社での写真撮影のマナーについて、振り返るきっかけとなれば幸いですよ。よろしくお付き合いくださいませ。

▼目次

(初稿:2017年10月23日、最終更新:2020年2月20日)


神社仏閣の撮影とマナーの問題

京都にしばらく滞在してみて感じたことが、観光客としてお邪魔する人間がマナーを心得ることの大切さでした。

バス停で並ぶ、お座敷には裸足で上がらない、不用意に建物や展示物に触れない、などの基本的なことですね。

色々な場所を回っているうちに、気を付ければよいポイントが見えてくるものだと思いますが、共通ルールがある訳ではないので、私もいまだに迷うこともあります。

中でも難しいな、と感じたのは写真撮影のマナーでした。

私自身、インスタグラムのアカウントで、寺社巡りの写真を公開していることもあり、できるだけ綺麗な写真を撮りたいな、という気持ちはあるんですよ。

でも、神社仏閣では全てを撮影してよいわけではありません。個人利用、商用利用の場合ではそれぞれ撮影ルールが違うこともしばしあります。

その都度、マナーに配慮することが絶対に必要と思っておいて間違いないでしょう。私自身も、可能な範囲で職員さんなどに確認するようにして来ました。

 

神社仏閣の撮影マナーの傾向

マナーの判断が特に難しいのは、特に有料拝観などの受付も必要ない「境内自由」というタイプの場所です。

主要な観光地であれば観光客向けの細かい表示がされているので、どこは撮影禁止なのか分かりやすいんですね。ところが、すこし郊外の寺社に行くと禁止事項が書き出されていないこともしばしば。

しかも大抵、そういう場所ほど寺社の規模が小さく、人手もない。訊きたいよ~、と思っても質問できる人が見当たらない、という状況になってしまうことが時々あるのです。

こんな状況から、寺社での参拝や撮影のマナーに戸惑うことが私にもありました。

とはいえ結論からいえば、神社とお寺、それぞれで撮影禁止とされる範囲には、ある程度の共通項があると感じています。

以下、私が寺社を巡ってきた経験をふりかえって、撮影可能と不可能の目安をまとめてみましたよ。

一般的に撮影不可能なもの

  1. 仏像・ご神体(信仰の対象として祈りを捧げるもの)
  2. 本堂・社殿の内側
  3. 美術品(絵画、彫刻、調度品など。特にフラッシュで傷むもの)
  4. 生き物(ご神馬など)
  5. 個人を特定できる画像(顔写真、絵馬などに記載された個人情報など)

 

撮影OKが多数派のもの

  1. 庭園(拝観の受付窓口より手前まで。)
  2. 建物の外観
  3. 鳥居、門
  4. 美術品が複製である場合

もちろん、施設の方に直接確認することが前提ですが、庭園などは受付の通過後もOKしてくださる場所が多くありました。きれいな写真をたくさん撮らせていただけたお陰で、今でもよい思い出になっています。

変わったところでは、浄土宗のお寺(東本願寺・西本願寺など)は比較的、制限が少なかったように思います。これは、宗派的な考え方と関係しているのかもしれません。

浄土真宗のお寺では、お寺を万人に開いてくださる傾向があり、僧侶さま主催のイベントを実施しておられるところも。一般参詣者にも解放的な姿勢が、写真撮影にも寛容な姿勢につながっている印象があります。

 

撮影禁止の理由は「信仰」にあり

また私の場合は考えた末、仏像はなるべく撮影しないことにしました。

というのも、たくさんの場所を回るうちに仏像は撮影禁止という作法に慣れてしまったのですね。なんとなく居心地が悪いため、仏像の撮影は控えるという方針にしています。

もちろん、例外的に禁止していないお寺さんもあったのですが、ほとんどの寺院では仏さまは拝むものとの考え方は共通です。

つまり僧侶さんにとって、仏さまは自らが奉仕する相手。仏像=尊重されるべき存在ですから、みだりにカメラを向けることは失礼な行為という発想があるのです。

なお、これは神社のご神体でも同様です。

ご本殿の奥、神様の居場所となる空間にカメラを向ける行為や、信仰の対象になる岩を撮影する行為などは、原則禁止という場所もあるため、注意事項は気にするようにしましょう。

 

寺社と撮影に関するその他の禁止行為

人物の撮影は控えましょう

当然ではありますが、僧侶さん、神主さん、参拝者の方々のお顔は肖像権の対象となります。勝手に撮影して公開すれば問題となりかねません。

あまりハッキリとお顔の分かる写真は手元に置くだけにとどめ、ネット上に公開しない方が良いです。私もお祭りの写真を撮る時などは難儀しますが、お顔にはぼかしを入れるなど工夫しています。

ブログの他にも、インスタグラムのようなSNSにあげる場合も最低限、個人を特定できない状態にしてからの投稿をお勧めします。

 

境内での三脚の使用は歓迎されません

多くの神社仏閣、特に庭園を管理しているところでは、三脚の使用を禁止しています。

狭い道で撮影機材を広げることによる交通の妨害、三脚による苔へのダメージなど、いくつか理由は考えられます。

いずれにせよ、初めて訪れる場所に三脚を持ち込む行為はお勧めできません。

 

コスプレ姿での撮影会

コスプレ等、特殊な目的での境内への立ち入りについて禁止している神社やお寺は、意外と多いもの。

特に、檀信徒さまを優先的に迎えるお寺の場合、立ち入り・撮影に関して比較的厳しいルールを決めていることも。

信仰の場所でありたいと願う神社仏閣の方からすると、コスプレ会場になることで雰囲気が壊れてしまうなど、懸念もあるのかもしれません。

どうしても撮影に使わせていただきたい場合、必ず管理者の方に事前許可をもらい、使用日時等を相談してからうががうようにしましょう。

もちろん、すべての寺社がコスプレを禁止しているわけではありません。場所によってはむしろ、コスプレイヤーを招いたイベントを積極的に開催している例も。

コスプレを歓迎してくださる気風のあるお寺・神社なのか、SNS等あればチェックして、開催の前例があるか調べてみてはいかがでしょうか。こうした利用については、お願いをする人間側から適切に空気を読むことが必要だと思います。

 

神社仏閣の商用撮影は原則禁止

更に、これは一部の方に関わる注意事項ですが、商用利用のルールは個人利用よりもずっと厳しい、と覚えておきましょう。

寺社仏閣の写真の著作権は大変デリケートなので、より慎重に確認するべきです。撮影がOKであることと、商用素材として使用して良いことは別問題ですから、混同しないことです。

先に挙げたOKな事例も、基本的には個人利用を想定した目安。商用利用ではOKされない可能性が高いので注意してください。

私自身、寺社ブログを始めるにあたり、寺社の写真撮影に関する著作権を確認したところ、次の2つの点で商用利用は難しいとの情報を得ました。

  1. 建物の外観にも肖像権がある
  2. 境内を含め寺社の所有する敷地内で撮影した写真はすべて、寺社側が利用禁止する権利を持っている

この基準に従いますと、自費出版の本などであっても、販売行為の対象となる物品等への使用は原則禁止と考えて良いと思います。

サイト使用については2018年8月時点の法律ですと、正直なところグレーゾーンとのことでした。

 

神社仏閣の撮影と法律

サイト上での写真利用がグレーとされる理由は、残念ながら法的に許可されているからではありません。現在の法律には、アフィリエイト等を行うサイト自体を商用運営と判断する規定がないためです。

商用利用はダメ。だけど、サイトそのものを商用のツールだと見なす基準が設定されていないので、違法性を問うことができないだけ、と覚えておくとよいでしょう。

参考として、有償サービスを営業行為かどうか判断する基準は、頻度・規模・収益額などに関連するようです。

サイト運営者が法人なのか個人なのか? どのくらいの収益があがっているのか ?利用者の数など、条件によっては商用と判断されるリスクがあることも考えておきましょう。

法律は常に変わる可能性のあるものですから、法改正や新たな判例が生まれた場合、突然、利用できなくなるリスクがあるのです。

また、場所によっては商用とはみなせない個人ブログの範囲でも、掲載許可を求める寺社もあるとのこと。この辺は、施設を管理する方の意向によるということでしょう。

近年のご朱印ブームやスマホ撮影の増加による影響なのか、以前はOKだった寺社で後日、撮影禁止へとルールが厳格化されている場合も多々ありました。

確認を怠らず、違反と見なされる画像を誤って使用してしまった場合に備えて、問い合わせフォームなどを設置しておくことも必要と思われます。

(当ブログも個々に確認は心がけておりますが、万が一、見落としがございましたら問い合わせフォームよりご教示くださいませ。)

 

写真だけじゃない!寺社にかかわる著作権と禁止行為

以上、写真撮影に関するマナーを中心にまとめて参りましたが、実は他にも気を付けたいことがあります。

最近、インターネットの普及により様々なホームページやブログが誕生していますが、このことで新しい問題も出てきているのです。

代表的なのは文章や画像の盗用問題でしょうか。例えば、多くのブロガーが自由な参照元としてコピペするウィキペディアなどは、掲載内容をよく見ると、神社仏閣の公式ホームページの文章を丸ごと転載してあったりするのです。

つまり、ブロガーがウィキペディアを引用すると、自動的に寺社の公式ホームページを孫引き(3次利用)したことになってしまうのです。これを著作権フリーの範囲と呼べるのかといわれれば、私は厳しいように思います。

不正確な情報の拡散はよくありませんが、かといって無断転載を歓迎する寺社も少ないでしょう。ブロガーになるくらい寺社が好きなら、自力の調査と作文を続ける努力は絶対に必要になってきます。

なお、書籍のように商用で販売するものについては、もっと厳しいルールで審査されることは覚悟しておきましょう。公式ホームページの無断転載は、いうまでもなく厳禁です。

あるいは自分で書いたブログを本にしたい場合でも、特定の神社仏閣の名前を出す場合(画像を使用するならなおさら)は、無許可ではやらない方が良いです。

現在のように、さまざまな情報が流れる状況を歓迎していない寺社も多いのです。商用出版をするなら、原稿の中味まで確認させてほしいという場所もありました。

より現実的な話をすれば、第三者が無断で商業出版した結果、寺社の権利を侵害したとみなされた場合、法的な勝ち目はありません。勝手な判断は控えましょう。

 

神社仏閣の写真を商用利用する方法

撮影マナーのことは理解したけれど、それでも商用で神社やお寺の写真を使いたい!と思ったら、どうしたら良いのでしょうか。解決のヒントをまとめると、次のようになります。

寺社に撮影許可を申請する

もっとも王道な方法は、神社仏閣に撮影許可をいただくことです。

ある程度の規模であれば、寺社によっては取材専門の窓口を設けているところもありますから、まずは代表となる連絡先へ臆さず確認してみることです。

許可をいただくため、寺社さん側へ報告するべき項目(出版社名、連絡先、記事テーマなど)がある場合は、必ず忘れずに申告を。撮影を希望する日時などは、許可申請のときに調整していただけます。

※ただし、この方法も万能ではありません。そもそも外部の立ち入りNGというところもあるので、断られることも覚悟しておきましょう。

 

フリー素材を利用する

ある程度まで有名な寺社なら、フリー素材の中から写真やイラストを見つけられる可能性があります。比較的、寛容な例として挙げられるのは、各地の観光協会が運営しているホームページなどでしょうか。

団体さんによってOKとなる水準が違うので、利用規約の確認は必須。それでも観光協会という組織の性質上、地域の魅力を発信するためのコンテンツ(パンフレットなど)なら利用OKとしくださることが多いです。

建物ではなく、仏像やご神宝のような美術品に近いものなら、例えば海外の美術館の運営する写真ギャラリーなど、パブリックドメインの画像は利用制限が少ないです。

どうしても、この仏像でなければダメ!という訳でなければ、類似する美術品の画像を探してみてはいかがでしょうか。

浮世絵のように、すでに著作権の消滅した作品は使い勝手が良いので、市販の書籍でもよく利用されていますね。

上記のギャラリーについては書籍の表紙など、商用での利用OKとする案内がありました。(2020年2月時点では下記のとおり。美術館の FAQ より)

May I use images designated as OA on my website or on the cover of my book?
Yes, you are welcome to use images identified by an OA icon for any purpose, including commercial and noncommercial use, free of charge and without requiring permission from the Museum.

しかしながら、すべての美術館が商用利用を全面的に許可しているわけではありません。利用登録や管理者への申請が必要なものもあるので、規約は必ず確認しましょう。


神社仏閣に禁止事項が多い理由

なぜこんな記事を書いているかというと、平等院鳳凰堂などに行くと感じるのですが、文化財の保護と維持って本当に大変そうなんですよ。

神社やお寺というのは、私たち日本人にとって大変身近な存在ですので忘れられがちですけれども、歴史があるということは、建物等が国や県の指定した文化財になっていることも多いんですよね。

例えば平等院鳳凰堂の場合、仏像にかぎらず建物がまるごと国宝なのですが、その内部に観光客が入るので、柱や壁に荷物が接触するのもダメ、ということになっていました。

柱や壁の塗料がはがれるだけでも、1000年前の建築物にとっては大ダメージです。本来であれば、人の立ち入りは禁止とする方が、文化財保護がしやすいことは間違いありません。

それでも観光客を受け入れているのは、貴重な文化財を見てもらおうという、おもてなしの気持ちもあるとは思います。

もうひとつの大きな理由は、文化財の維持管理にかかる莫大な費用をどこからか捻出しなければいけない、という経済的な背景もあるでしょう。

寺社など行くと、例えば柱の一本をとってみても、樹齢○○年という大木を使用していますよね。けれど、こういう大きな木も、自然の減少している現代では入手が難しくなっています。

斎宮行列で有名な嵐山の野々宮神社も、トレードマークの黒い鳥居に適切な材木が見つからず、しばらく鳥居の建て替えができなかったことが、案内の看板に記されていました。

材料が手に入りにくくなれば、当然のこと、その価格も上昇します。

そういう材料を山ほど集めなければ、寺社の建築は維持できないのですから、国宝級の文化財の修復ともなれば、費用は莫大な金額になるでしょう。

建材の不足はどうしようもないので、それならせめて今の建物を大切にしていき、少しでも長く寺社が本来の形を保てるようにする。

そのために、文化財を傷つけないよう丁寧に扱うのが、現代人にできるせめてもの心遣いなのかな、と感じています。

過剰にかしこまる必要もありませんが、せっかくなら神社やお寺にとっても、実りある方法で参拝ができたらいいですね。

それでは、本日も最後までお付き合いただいた皆様、ありがとうございました!

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