【鬼来迎】地獄の鬼舞い見学記

皆様、こんばんは。

地域によっては、今週、お盆期間でしたね。皆様はいかがお過ごしでしたか?

私の出身地は8月にお盆をしますので、この1週間は様々な行事に参加して参りましたよ。

本日取り上げますのは、こうしたお盆行事の中から、比較的めずらしい催しを紹介致します。

その名も鬼来迎(きらいごう)といいまして、千葉県の広済寺(こうさいじ)さまに伝わる狂言でございます。

お寺や日本の伝統文化に興味のある皆様、よろしくお付き合いくださいませ。

▼目次

仏教のありがたさを伝える鬼が主役だからか、幕に書かれた「鬼」の字は角なし。

(初稿:2019年8月17日)

鬼来迎とは?

鬼来迎とは、鎌倉時代から千葉県の虫生に伝わる、仏教を題材にした狂言です。

鬼来迎が描くのは、悪人の死後の世界。閻魔様による裁判の様子、地獄の風景などを再現する、珍しい筋書きで知られています。

鬼来迎と似たもので、京都にも大念仏狂言と呼ばれる仏教説話を演じる催しがありますが、これら鬼来迎の違うところは、出演者が地元の方たちであること。

つまり、芸能を生業とする人が演じるのではない、一般の方が演者を務めるのです。村祭りのお囃子のように、地域住民の間で1000年近くも受け継がれて来た、民族芸能なんですね。

衣装の制作から演者まで皆が一般人の手によるとはいえ、メディアに取りも取り上げられる、本格的な狂言です。

 

鬼来迎の基本情報

【アクセス】

  • JR総武本線横芝駅から徒歩50分(4キロ弱)または車10分 広済寺境内

この地域には公共の交通機関がほとんどなく、暑い最中になりますから、タクシー利用は必須と考えた方が良いでしょう。

自家用車を利用する場合も、山の中のお寺のため、駐車スペースもあまりありません。複数名でお越しの場合、なるべく一台の車に乗り合いとする方が良さそうでした。

【上演日時】

  • 毎年8月16日 15時頃~

鬼来迎は、お盆のお施餓鬼供養の一部として上演されます。このため、広済寺さまの行事予定によって、開始時間は変動することも考えられます。

一年に一日しか上演しないものなので、事前のスケジュール確認を非常に強くお勧めいたします。

場所は、お寺の境内に設置された舞台です。例年、日差しが強い時期の実施となるため、熱射病・熱中症の対策は万全に。

 

鬼来迎の人気の秘密・虫封じ

中心が地獄の奪衣婆。

鬼来迎の人気の秘密は、なんといっても迫力ある鬼の存在でしょう。

仏教物語といいながらも、この舞台の主役は鬼で間違いありません。登場する時に、バタバタと力強く足を踏み鳴らす青鬼、赤鬼のコンビ。

それから青鬼と赤鬼の母親で、ナマハゲ顔負けの迫力のある鬼婆。いわゆる地獄の奪衣婆なのですが、地元民は「しょうづかばばあ」と呼ぶこともあります。

この鬼婆に赤ちゃんを抱いてもらい、その時に赤ちゃんが泣くと、夜泣きしない、元気に育つ等といわれていることから、この2019年も赤ちゃんとその親御さんから引っ張りだこでした。

狂言の上演前に「虫封じ」(要申し込み)として、鬼婆による抱っこタイム・記念撮影をしていただけますので、お子さんのいるご家庭には特に楽しめる催しかもしれません。

 

鬼来迎の感想

今回、いきなり鬼来迎を取り上げたのは、珍しい仏教行事を皆様に知っていただきたいなあというのもあったのですが、実は私の場合、父方の祖母がこの地域の出身者なんですね。

現在もお盆に行きしているお家の方が、過去に出演者を務めた経験もあるとことから、寺社ブロガーとして紹介したいなと思いました。

なお、裏付けは取れておりませんが、父方から聞いた話によれば、現在の鬼来迎は略式になっているそうです。

以前はもっと多くの演目があり、長時間の上演であったそうですが、天候の厳しさや演者のスケジュール調整の難しさなど色々な要因から、現在は4幕しか公開されなくなってしまったとのこと。

今年の上演では、劇に入る前に舞台をお清めする場面、悪人が閻魔さまに裁かれる場面、子供たちが三途の川で惑う場面、地獄の釜茹での場面、この4つが公開されました。

伝統芸能として面白いのはもちろんですが、塩と米によるお清めの所作、反閇や四股のように土地を踏み鳴らす所作などが見られる点でも、私は面白いなあと感じましたよ。

日本の伝統芸能や宗教行事、その古来の姿を垣間見る貴重な経験となりました。

 

以上、重要無形文化財・鬼来迎の見学日記でした。

本日も最後までお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました!

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